「コンセンサス」
コンセンサス(consensus)とは「複数の人の合意や意見の一致」を表す。
コンセンサスは単に意見が一致するというものではなく、会議などでは全会一致の合意を指し、このような反対意見のない状態で決定する会議方式を、コンセンサス方式と呼んでいます。
この企画、A社のコンセンサスは取れてるのか?
明日の会議までに部長のコンセンサスを得といてくれたまえ。
とこのように、ビジネスでは普通に使われている用語です。
コンセンサスゲーム
コンセンサスゲームとは、与えられたある問題についてグループで話し合い、議論を重ねる中で、グループ全員のコンセンサス(合意)を得ることを目的としたゲームです。
つまり、相手の合意を得る為の訓練としてビジネス研修や学校教育に用いられるのがこのコンセンサスゲームです。
『砂漠で遭難したら?』
適正人数:1チームあたり4名~6名
所要時間:90分
あなたの状況
7月中旬のある日、午前10時ごろ、あなた方が乗った小型飛行機はアメリカ合衆国の南西部にある砂漠の中に不時着しました。不時着した際、飛行機は大破炎上、操縦士と副操縦士は焼死しましたが、あなた方は奇跡的に大きな怪我もなく無事でした。
不時着はあまりに突然で、無線で救援を求める時間もなく、また現在位置を知らせる時間もありませんでした。
しかし、不時着する前に見た周りの景色から、あなた方は飛行プランに示されているコースから約100km離れた所にいることがわかっていました。また、操縦士は不時着前に、最も近くの居住地は約110km南南西にあることだけをあなた方に告げていました。
この付近は全く平坦で、サボテンが生えている他は不毛の地域です。不時着直前の天気予報では、気温は約43℃になるだろうと言っています。それは、地表に近い足もとでは50℃にもなるだろうことを意味しています。
あなた方は、軽装〜半袖シャツ、ズボン、靴下、スニーカーという服装で、各々、各1枚のハンカチとサングラスを持っています。また、全員で8ドルばかりの小銭と100ドルの紙幣、1箱のタバコとボールペンが1本あるのみです。
ただ飛行機が燃えてしまう前に、あなた方は次の12のアイテムをかろうじて取り出すことができました。
あなた方の課題は、これらの12のアイテムを、あなた方が生き残るために最も重要と思われるものから順番に、1から12までの順位をつけることです。生存者は、あなた方のチームのメンバーと同数であり、またみんなが協力し合うことを同意しています。
12のアイテム一覧
- 電池の入った乾電池
- ガラス瓶に入っている食塩(1000錠)
- この地域の航空写真の地図
- 1人につき1リットルの水
- 大きいビニールの雨具
- 磁石の羅針盤
- 1人1着の軽装コート
- 弾薬の装填されている45口径のピストル
- 化粧用の鏡
- 赤と白のパラシュート
- 約2リットルのウォッカ
- 「食べられる砂漠の動物」という本
ゲームの流れ
- まず、「あなたの状況」を読み、個人的に生存に必要と思われるアイテムを選び、1人で優先度順に順位付けをします。(最も優先度の高いアイテムを1とします。)理由も考えておくとよいでしょう。約15分。
- グループで話し合いを行い順位を付けます。約30分。
- グループ毎に決めた順位を、理由を添えて発表します。
- 模範解答(NASA)を発表します。
- グループまたは個人の回答と、模範解答の順位の差を求めます。
- 最も差の少なかったグループまたは個人が優勝です。
- ふりかえりを行います。
模範解答
順位 | アイテム | 理由 |
1 | 化粧鏡 | 鏡はかなり遠距離まで光が届き、捜索隊への信号となる。 |
2 | 1人1着の軽装コート | 太陽光を直接浴びないようにする。夜の寒さ対策にも |
3 | 1人につき1リットルの水 | 生存には不可欠であるが、捜索隊に発見してもらうことが最優先。 |
4 | 電池入り懐中電灯 | 夜の捜索隊への信号となる。 |
5 | 赤と白のパラシュート | 広げて空からの目印にする。 |
6 | 大きいビニールの雨具 | 砂嵐から身を守る。 |
7 | 弾薬が装填されている45口径のピストル | 発砲音で周囲に知らせるため。また、仮に動物に襲われそうになった際に身を守る。 |
8 | 磁石の羅針盤 | 町に向かって歩くなら必要だが、捜索隊に発見されることが最優先。 |
9 | この地域の航空写真の地図 | 周辺の地形を知るためには必要だが、捜索隊に発見されることが最優先。 |
10 | 「食べられる砂漠の動物」という本 | 動物を捕まえるのは体力を消耗する。 |
11 | 約2リットルのウォッカ | ウォッカを飲むと余計に喉が渇き、脱水症状を促進してしまう。 |
12 | ガラス瓶に入っている食塩 | 塩は血液濃度をあげ、脱水症状を促進してしまう。 |
ねらい
このゲームはコンセンサスゲームなので、サバイバル術の知識を競うことが目的ではありません。様々な知識や情報、立場がある中、グループでいかにコンセンサス(合意)を得て話し合うことができるかがポイントで、またその訓練がねらいです。
自力で脱出しようとする人と、その場で待機して助けを待とうとする人と意見が別れるかもしれません。
そんな時にどうするか?
合意を得るまで話合うことができるか、多数決を取るのか平均値を出すのか、影響力のある人の意見に頼るのか。全員からコンセンサスを得るのがいかに難しいことか、分かってもらえると思います。
最後に
このゲームや手順については、社会心理学者が考案したとされていますが、
個人で考えた結果を元に、グループで考えるという順序設定に沿って考えてみてください。
個人の考えよりもグループ結果の方がよければ、チームで話合うことには大きな意義があるのだ。ということを参加者は身を持って学習します。
また、ビジネスにおいても大いに役立つ考え方が刷り込まれています。
- 発想の転換(違う用途に使用できないか?)
- 断捨離(必要のないものは捨てる。)
- 優先順位(重要さを順位づけて考える)
色んな意味と意義を持ったこのゲーム、一度試してみてはいかがでしょうか?
僕は、正月に従兄弟達とやりましたが、めちゃくちゃ盛り上がりましたのでただのゲームとしても十分楽しめます。