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映画サードパーソン

最近は空き時間があればAmazonプライムを利用して映画を見ている僕ですが、久々にやっかいな映画に出会いました。

やっかいというのはこの映画に隠された『謎』のこと。

一度見ただけでは、分からない部分も多く、気になりすぎて2度見したほど難解です。

今回は、そんな難解映画『サードパーソン』についての僕なりの見解や見所を中心にご紹介したいと思います。

がっつりネタバレを含みますので、読む際はご注意を!!

サード・パーソン

  • 制作:イギリス・アメリカ・ドイツ・ベルギーの合作
  • 監督:ポール・ハギス(2005年に彼が手がけた『クラッシュ』がアカデミー賞を受賞。当時かなり話題になりました。)
  • 出演:シンドラーのリストやバットマン、スターウォーズまでありとあらゆる作品でお目にかかるリーアム・ニーソン」、Tedでお馴染みのミラ・クニス、戦場のピアニストエイドリアン・ブロディ」テレビドラマThe O.C.やDr.HOUSEなどに出演するオリヴィア・ワイルド」127時間、猿の惑星「ジェームズ・フランコ」等の豪華俳優人を起用。
  • 公開:2013年
  • 上映時間:138分

あらすじ

パリ編

パリのホテルの部屋に引きこもり、最新作を執筆する作家マイケルは、作家志望のアンナと愛人関係にあったが、アンナにもまた別の恋人がいる。

ローマ編

ローマのバーで出会ったエキゾチックな女性に心を奪われたアメリカ人のデザイン泥棒の男スコットは、彼女の娘が密輸業者に誘拐されたと知り、見ず知らずの女性を助けることを決意する。

ニューヨーク編

ニューヨークで息子の親権をめぐり、夫と係争中の元女優ジュリア。

裁判費用を稼ぐ為、高級ホテルのメイドとして働き始めることになるが、裁判所からの精神鑑定の当日、自身の不注意から鑑定日に遅刻する。

問題を抱えた彼ら3組6人に起こる群像劇を描いた作品。それぞれのストーリーが別々で進行するが、3つの物語が1つになるとき・・・

ここからネタバレ

単刀直入にこの作品の『謎』を申し上げると、3つのストーリーだと思わせておいて、実は4つのストーリーで構成されているということ。

これが最大のネタ明かしです。

どこに4つ目が隠されているかと言うと、パリ編の作家の男マイケルと、現実の孤独な作家の男マイケルは別のストーリーなのです

同じ名前で同じ人物が演じているので僕も気付きませんでした。

これにすぐ気付く人はどのくらいいるでしょうか?すぐ気付いたらすごい!

つまり、ストーリーの大半を占めるパリ編、ローマ編、ニューヨーク編の3つのストーリーは現実の作家マイケルが書いたフィクションなのです。

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散りばめられた伏線

作中には、これが3つのストーリーではなく、4つのストーリーで進行していることを示すヒントが散りばめられています。

  1. 子ども
  2. メモ
  3. 白いバラ
  4. ホテル
  5. 執筆中の小説

①子どもを奪われたモニカと、子どもを死なせてしまったスコット、子どもの親権争い真っ只中のジュリア、全てに子どもが登場していること。

②③④ジュリアがニューヨークのホテルで部屋のメモ用紙に記入した住所のメモと、マイケルがパリのホテルで記入したメモ用紙と、愛人アンナに送った白いバラが同じ場所にある。

見ている側には大きな??が浮かびます。パラレルワールド的な

平行してストーリーが描かれていると思いきや、突然時空を超えて登場人物が接点を。

僕もこの時点でやっとこのストーリーが架空であることに気付きました。

⑤出版社の友人はマイケルの作品を「君の人生の言い訳でしかない」と表現するセリフ。

このセリフには、ローマやニューヨークの物語が、マイケルの人生に対する弁明であることを示唆しているのです。

さらに、執筆中の作品について出版社の友人から、「この作品を出版した後のスキャンダルはいいのか?」と心配されるシーン。ここまでくればなんとなく小説の内容が、愛人アンナの秘密が題材にされていることも想像できますね。

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結局この映画はどんな映画か?

要約すると、自分の不注意で、プールで溺れさせ子どもを死なせてしまった過去を持つ男が、こうあればいいなと思う願望や贖罪についてツラツラ書き綴るんだけど、出版社から人生の言い訳でしかない。と酷評を受け、愛人の近親相姦を暴露した作品を執筆することに決めたヒドイ男の話。というところでしょうか。

個人的な見解なので、間違っているかも知れません。

ラストシーンで妻からの電話にマイケルは、アンナに何ヶ月も前にふられたと言ったセリフがありますが、恐らく本当です。

同時にアンナが本屋で酷くショックを受けていた意味も、近親相姦、というか父親から受け続けている性的虐待について詳細を記した日記を見られたことが、フラれた原因であることを意味しているのだと思います。

ただ、事実についての記述を見られたというだけで、あそこまで怒りが生まれるでしょうか?

きっと、よほどアンナの逆鱗に触れるような記述がなされていたに違いありません。

彼女を軽蔑するような、驕り高ぶったような上から目線というか、内容までは分かりませんがきっとそうでしょう。

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総合評価&感想

評価については難しいところです。

サクッと良作を見たいなという人からすれば★☆☆☆☆でしょう。

この作品の最大の見所はやはりラストシーンであり、この手の映画の醍醐味は謎を解き明かすことですから、ボーっと見ているだけでは何が言いたいのかさっぱりです。

気分によっては僕も途中でやめていたかもしれません。

ミステリーとして楽しめる方なら★★★★☆。

最後に

オープニングの炭酸水に落とされた硬貨、飛び込むのを躊躇するプールサイド、ジュリアの洗面所、エレインの携帯の水没・・・

2回目見るときはすぐに気付きます。『共通点は水』。水に関する不幸を彷彿させる演出で、物語の核心を意味しているのだと。

2度見ると、4つ目のストーリーの輪郭がかなりはっきり見えるのでおすすめです。

夜、リビングを暗くして1人ワイン片手に鑑賞すべき映画です。

ちなみに、『サード・パーソン』はAmazonプライム会員なら無料で視聴が可能です。

 無料期間だけでもお試しください!

ポール・ハギスが手がけたアカデミー賞作品『クラッシュ』も無料で見れちゃいます。

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