平山夢明といえば、実話怪談、都市伝説系怪談などのホラー作家として有名ですが、鬼畜系の小説家としてもその名を馳せています。
特にキチガイ系の短編小説を多く出版しており、その作風をジャックケッチャムと比較されることが多い。
その作風は、過激極まりなく、理不尽で、救いようのない胸糞描写の連続と絶望感。
そして全て「理解不能」。
読んだ後は、どっと疲れます。
僕が最初に平山鬼畜ワールドと出会ったのは、『他人事』という短編作品です。
1話目からまぁぶっ飛んでます。
2話以降も、日常に潜む目に見えない『恐怖』を感じるというのでしょうか、
よくこんな胸糞なストーリーが思いつきますね。平山さん、あなた大丈夫か?
と心配してしまう程の鬼畜ぶり。(褒めてます)
その派生で長編の『ダイナー』という作品を5年ほど前に購入したものの、1度も開くことなく、すっかり忘れていました。
そしてつい先日、ハンバーガーを食べている時に突然、あのインパクトのある表紙を思い出し、この度、1日で読破しました。
ダイナー
大藪春彦賞と日本冒険小説協会大賞をダブル受賞した平山夢明の代表作の1つ。
地獄というのが本当に存在するとすれば、まさに、これを地獄というのだろう。
『ダイナー』の冒頭は、そんな表現から始まる。
あらすじ
ヒロインのオオバカナコは軽い気持ちで危険なバイトに参加するも失敗。
そのことが原因で凄まじい拷問を受け、殺されかけた挙げ句、ある会員制の定食屋(ダイナー)に売り飛ばされ、ウェイトレスとして働かされる。ボンベロという謎の男が経営するその店の客は、それぞれ心に深いトラウマを抱えたプロの殺し屋ばかりだった。
冒頭の拷問のシーンは目を覆いたくなるような生々しい描写で、読む人の気持ちを限りなく不快にさせるのですが、舞台がダイナーに移ってからは、不思議とグロい描写にも慣れてきます。
後半には、グロについては何とも思わなる不思議。
血と内臓と肉で荒れ狂った店内で、登場人物たちは平気な顔をして『チーズバーガー』を食べています。
いつ殺されてもおかしくない、そんな状況の中、ヒロインのオオバカナコは逞しく成長していくのです。
今作はもちろん、ただ描写がグロい、過激で残酷というだけの作品ではありません。
物語が進んでいくにつれ、登場人物のことを理解し始めるにつれ、物語には深見が出てきます。
残酷だった店主のボンベロも、いつしか魅力的に見えてきます。
ヒロインの生きたい!!と思う気持ちに心打たれる作品でした。
もっと早く読めばよかったです。
読み終えた後、園子温が「冷たい熱帯魚」の雰囲気で映画化すればいいのになって思って何気なくHP見ると、映画化決定の文字が!!
お!、園子温かと思いきや・・・
監督は蛭川実花(ニナガワミカ)
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%9C%B7%E5%B7%9D%E5%AE%9F%E8%8A%B1
写真家、映画監督であり、蜷川幸雄氏の娘さん。
蜷川実花さんの作品は、土屋アンナを主演に迎えた2007年『さくらん』、沢尻エリカの大胆演技で話題となった『ヘルタースケルター』を手がけた。
独特なファンタジックワールドを描き出す監督。
僕は上記2作品をどちらも最後まで見ておらず、『へルタースケルター』は途中で見るのをやめた記憶だけが残っており、内容は全く覚えておりません。
主演は藤原達也(ふじはらたつや)
引用:http://www.horipro.co.jp/fujiwaratatsuya/
蜷川幸雄氏がその才能を見出し、芸能界デビューのキッカケを作ったことで有名な俳優さん。
「キンキンに冷えてやがる」でお馴染みですね。
娘ともタッグを組むことになったようです。
それは別にどっちでもいいんですが、ボンベロのイメージとは全くかけ離れてるけどマジで大丈夫でしょうか?
ダイナーの店主であるボンベロは威圧的で恐ろしい役。かなりガタイの良い濃い目の男であると想像できます。
その役を藤原達也は演じきることができるのでしょうか?
キラキラ光るお洒落映画にだけはしないで欲しい。
蜷川さん、藤原さん、期待しています!!是非よろしくお願いします。
引用:http://wwws.warnerbros.co.jp/diner-movie/
最後に
映画の出来は別として、原作『ダイナー』はかなり良作です。
平山夢明の中では、「得体の知れない不愉快さ度数」は低めなので、初めての人には特に読みやすいと思います。
540ページと結構なボリュームですが、読みやすい作品なので、あっと言う間に読みきれます。
食欲を無くすようなシーンの数々の中に散りばめられたハンバーガーの描写に、食欲がそそられたら、あなたも平山ワールドの虜です。
是非1度お試しください。
漫画版も出版されているようですが、原作で是非!!